沖縄の一般家庭向けソーラー設備の資料を見せてもらった

昨日はお友達に、家庭用のソーラー発電設備(工務店に頼んで設置してもらうご家庭用設備で売電を見込んでいるもの)の見積やデータを見せてもらった。このお友達は沖縄県中部でいままさにソーラーパネルを導入しようとしてる戸建てオーナーの方で、複数の会社から提案と見積をもらってるのを全部。各社本気の見積もりです。

沖縄のリアルな話はネットにはぜんぜん出てこないので、いろいろすごく勉強になったんだけど、中でも衝撃的だったこと。

  • どこの業者もパネル傾斜角が5度
  • 7月の発電量が他の月を圧倒

5度とな! ほぼ水平!! NEDOのデータでシミュレートすると、沖縄で理想的なパネル傾斜角は21度だったはずなので、16度も違う。これは「とにかく台風が怖い!」というのと、冬を捨てて夏の発電に傾斜配分してるということだと思う。

なるほどなるほどですよ! だって沖縄の昼間の電力需要で一番デカいのは夏のエアコンなんですもの。

冬は曇ってていまいち発電しないんだけど、それをカバーしには行ってない。需要も小さいので、たくさん発電しても売電に流れるだけだからでしょう。渡される沖電の方も扱いに困るはず。

逆に夏には需要が逼迫する。自己消費は最大になるし、沖電的にもどれだけ流れてきてもウェルカムと思われる。

沖縄は台風がとにかく怖いのでパネルをなるべく寝かしたいのを前提に考えると、夏至前後の南中太陽高度がほとんど90度になるので、1ヶ月後の7月に5度(高度85度の太陽に正対)は悪くない。しかも傾斜をつけないことで朝夕の低い太陽への偏角が小さくなり、この時間帯の発電量が多くなるメリットもある。でも完全に無傾斜だと汚れが落ちないので5度にしました…ということだと思う。いいですね。納得ですよ!!

あと「おお」と思ったのが、

  • インバータが30万円均一

だったこと。複数の業者が同じ値段。どこもだいたい5.5kWのインバータ(パワコン)を中心に提案してるんだけど、どこも15年保証で30万円の機器として売ってる。

日本製5.5kWのパワコンも、安いやつなら10万ちょっとで買えるので(参考)、これはモニターの充実した高機能・高性能品に、しっかりした保証をつけて売っているということ。格安のものを保証無しで使って自分でモニターシステムを組むのもそんなに難しくないと思うけど、電気工事士も持ってない普通の人には修羅の道。交換費込みで良いものが使えるなら、その方が良いと思う。

あと気づいたのは、パネルが案外安く提案されてたこと。前に書いた、系統連系には日本製の認定なんちゃらが必要という話はガセで(そもそも日本製パネルはほとんど全滅してるし)、中国製を中心に400Wくらいのパネルを1枚4万以下で提案してるとこが多い。オレが買ったほどは安くないので少し利幅が乗ってると思うけど、kWあたり10万は切っており、まあそんなもんじゃないかと思いました。

残りの費用は架台がパネル1枚につき2〜3万に、こまごまとした工事費。配線関係は高い業者もリーズナブルな業者もあるかな。さらにクレーン代、手続き関係などが入ってくる。どれも期待される作業からすれば高くはない。積み上げると10kW前後で200万円前後という提案になる。

これは悪くないですね。オレが構築中の限界ソーラー発電所のせいぜい2倍程度のkW単価で非常にまともな設備が導入できるなら、むしろそっちの方が良いかもしれない。削れるところは、まあ、ないでもないんだけど、妥当なコストを積み上げた末の値段なので払っていいと思います。沖縄なのでサビ対策にもカネがかかりますし。いずれにしても10年後には確実に元が取れてる。自作限界発電所の2倍というと高そうだけど、ぼったくりではぜんぜんなかった。

そんなわけで手のひら返しであれだけど、「普通のソーラー」、かなりオススメです!

オレはオレの道を行くけどな!!!

方位角と仰角で示された方向が2個あります。両者のなす角を求めよ。

先に買ったAliの150Wソーラーパネル

  • 表面がPET樹脂で燃えるなんてひどいぜ

というのはとりあえず措くとしても、

  • マジで150Wあるの?

という疑惑と、

  • 正面から外れたときの発電量の低下が妙に急では?

という疑問が頭の中を渦巻いている。

こうした状況では、パネルと太陽が正対した状態を100%とおき、そこからの偏角に応じて変換効率がどのように変化するかプロットしておけば役に立ちそう。

もちろん、インバータの不安定さを解決しないといろいろ不正確になるではあるんだけど、*1 大量のデータで統計的に推測すれば、わりによいguessができる気がする。

パネルは固定、太陽はPyEphemが方角+仰角で時間に応じた角度を返してくれるので、これは楽勝。

と思ったんですけどね。甘かったw  というか、ナメてた。線形代数を30年以上使ってなかったら完全に忘れてる。

それでもまあ、なんとなくの勘はある。まず、2つの空間的な方角のなす角を求めるには、ベクトルのなす角を使うのが楽そう。

これは2つのベクトルをa、bと置くと、内積a・bの定義:

a・b = |a||b|cosθ

より

cosθ = a・b  / |a||b|

となるから。cosθから角度θ(シータ)はアークコサインで出る。

θ = arccos(cosθ)

これで求まるはず。Python的には:

import numpy as np                     # numpyでベクトルを扱いやすく

def vecs2deg(vec1, vec2):
    cos_theta = np.dot(vec1, vec2) / (np.linalg.norm(vec1) * np.linalg.norm(vec2))
    return rad2deg(np.arccos(cos_theta))

とかやると、vecs2deg(ベクトル1, ベクトル2) により、ベクトル1とベクトル2がなす角が返ってくる。

と、ここまでは楽勝だったんだけど、角度をベクトルに直すのが実にめんどかった。

太陽の位置とかパネルの方向とかは方角と仰角だけで示されている。原点からの角度と距離で座標を示す極座標系ってのがあるんだけど、方角と仰角だけで示されてる物体というのは、(x, y, z)の直交座標系ではなく、(距離, 角度, 角度)で示される極座標系(球座標)に乗ってると考えた方が抽象化がうまくいく。

球座標系と直交座標系は相互に変換できる。その一般的な変換は、x軸となす角をφ(ファイ)、z軸となす角をθ、原点からの距離をrとすると

x = r sinθ cosφ
y = r sinθ sinφ
z = r cosθ

である。これをPythonで素直に実装すると:

import numpy as np
from numpy import sin, cos      # 三角関数をそのまま使いたい

def polar2vec(phi, theta, r) -> np.array:
    x = r * sin( theta ) * cos( phi )
    y = r * sin( theta ) * sin( phi )
    z = r * cos( theta )
    return array([x, y, z])

である。

では南中してる太陽の方角を長さ1のベクトルであらわしてみよう。南中だから方位角は180度。ここ数日の太陽の南中高度(仰角)は58度なので

>>> polar2vec(180, 58, 1)
array([-0.59419463, -0.79544254,  0.11918014])
>>> 

さっそくヘンな値が出た! なんでこんなに微小な数字に??

もちろん、ちょっと調べたらわかる。numpyでは角度にはラジアンを使うのが普通なのだ。

では角度をラジアンに変換して計算するようにしてみよう。

import numpy as np
from numpy import sin, cos
def polar2vec(phi, theta, r) -> np.array:
    ph = np.deg2rad(phi)
    thet = np.deg2rad(theta)
    x = r * sin( thet ) * cos( ph )
    y = r * sin( thet ) * sin( ph )
    z = r * cos( thet )
    return array([x, y, z])

こいつで改めて南中太陽の方角ベクトルを作ってみる。

>>> polar2vec(180, 58, 1)
array([-8.48048096e-01,  1.03855939e-16,  5.29919264e-01])
>>> 

e-01とかe-16とかは浮動小数点数で、e-01は10-1で1/10、e-16は10-16で1/10000000000000000だ。要するに「ほぼ0」である。yがほぼ0。

φはx軸とのなす角なので、南を180度とするのであれば、

  • x軸: 南北方向の軸。数字が増えると北に行く。
  • y軸: 東西方向の軸。数字が増えると西に行く。
  • z軸: 上下方向の軸。数字が増えると上に行く。

ということになる。つまりこのベクトルは、正面に0.848進み、左右には移動せず、上に0.53進んだ方角に太陽がある、という意味になる。

58度ってほとんど60度だから、正三角形の半分の直角三角形の斜辺くらいになる。ということは正面に1進んで上に√3くらい進んだくらいになるはずだ。√3は1.732くらいだから、前進する成分より上に上がる成分の方が1.7倍くらいになってるはず。数字はそうなっていない。

と考えていくと、太陽高度は仰角、極座標系はz軸となす角である。ここが間違ってる。

一般形を崩さず、可読性を犠牲にせずに仰角をz軸とのなす角に直したいから、ちょう簡単な関数を書こう。仰角elevetion angleを極座標のθに直す関数なので、名前はea2theta。単に(90-仰角)を返せばよい。

def ea2theta(elev_angle):
     return 90 - elev_angle

やってみよう。

>>> polar2vec(180, ea2theta(58), 1)
array([-5.29919264e-01,  6.48963931e-17,  8.48048096e-01])
>>> 

xとzが入れ替わり、0.53進んで0.85上がるようになった。0.848/0.53は1.6。1.732にちょっと遠いけど、だいたいこんなもん??

気持ちわるいので、もうちょっと検算しよう。

南に向かって1進むだけのベクトルは真南の地平線の角度を示すベクトルだ。これと太陽方向のベクトルを、最初に書いた関数に入れて角度を出してみる。太陽と地平線の角度はすなわち太陽高度だ。

>>> vecs2deg(np.array([-1, 0, 0]), polar2vec(180, ea2theta(58), 1))
58.00000000000001
>>> 

OKだった!!

それでは、この太陽と、庭のパネルなす角を比べよう。庭のパネルはブロック塀に立てかけてあり、40度の傾きにしてある。方角は195度(南南微西)である。

設置角は地面(xy平面)に対する立ち上がりなので、パネル正面方向の角度は設置角0度のとき真上を向き、つまりz軸に等しい。角度が付けばそれはそのままz軸とのなす角となるので、つまりそのまま極座標系のθとして使えるわけだ。

また方位角については、は北から東〜南〜西と回っていくので右回り。極座標系の方位はx軸とのなす角なので左回り。0度方向が共通で絶対値も共通。符号だけが逆になる。

これも簡単な関数にしよう。方位角アジマスを極座標のφに直すので名前はaz2phi。

def az2phi(azimuth):
    return -azimuth

確認しよう。

>>> polar2vec(az2phi(191), 40, 1)
array([-0.63097779,  0.12264966,  0.76604444])
>>> 

xが正の数(南)、yが小さな正の数、zが大きな正の数。よし!

それでは両者のなす角を求めよう。

>>> v_suntran = polar2vec(180, 58, 1)
>>> v_panel = polar2vec(az2phi(191), 40, 1)
>>> vecs2deg(v_suntran, v_panel)
19.77284232715524
>>> 

やっとできた〜。

しかしまだやることがある。PyEphemの返す角度がラジアンだったり度数だったりするんだけど、まだイマイチ慣れてなくて、どっちが返ってくるかわかんないんだよね。

>>> obs.date = datetime.datetime.utcnow() ; sun.compute(obs)  # 時間更新
>>> sun.alt                      # 太陽高度に直接アクセスすると
0.9489879608154297  # ラジアン
>>> sun.az                      # 太陽方位角に直接アクセスすると
2.5738658905029297   # やっぱりラジアン
>>> print(sun.alt)          # ところがprint()に食わすと
54:22:22.8                  # 度数…だけど角度分や秒がめんどい

もうnumpyに入れよう。

>>> np.rad2deg(sun.alt)
54.37300496345047 

角度の浮動小数点数。これが欲しかった。

続いて「現在の太陽方向」をベクトルにしてみる。

>>> polar2vec(az2phi(np.rad2deg(sun.az)), ea2theta(np.rad2deg(sun.alt)), 1)
array([-0.49112567, -0.31322327,  0.8128264 ])

ちょっと複雑になったけど、まあ可読性は保たれてるからよし。

時間を更新しながらパネルとの角度を見ていこう。

>>> obs.date = datetime.datetime.utcnow() ; sun.compute(obs) 
>>> v_sun = polar2vec(az2phi(np.rad2deg(sun.az)), ea2theta(np.rad2deg(sun.alt)), 1)
>>> vecs2deg(v_panel, v_sun)
25.084119443728053
>>> obs.date = datetime.datetime.utcnow() ; sun.compute(obs) 
>>> v_sun = polar2vec(az2phi(np.rad2deg(sun.az)), ea2theta(np.rad2deg(sun.alt)), 1)
>>> vecs2deg(v_panel, v_sun)
25.01952869385647
>>> obs.date = datetime.datetime.utcnow() ; sun.compute(obs) 
>>> v_sun = polar2vec(az2phi(np.rad2deg(sun.az)), ea2theta(np.rad2deg(sun.alt)), 1)
>>> vecs2deg(v_panel, v_sun)
24.97078892865783
>>> 

時々刻々と変わるようになった。

では3秒ごとに更新するようにしよう。

def main():
  while True:
    obs.date = datetime.datetime.utcnow()
    timestamp = ephem.localtime(obs.date).strftime('%Y-%m-%d %H:%M:%S')
    sun.compute(obs)
    v_sun = polar2vec(az2phi(np.rad2deg(sun.az)), ea2theta(np.rad2deg(sun.alt)), 1)
    print('%s, %0.2f' % (timestamp, vecs2deg(v_panel, v_sun)))
    time.sleep(3)
>>> main()
2023-03-09 11:54:22, 20.18
2023-03-09 11:54:25, 20.17
2023-03-09 11:54:28, 20.16
2023-03-09 11:54:31, 20.15
2023-03-09 11:54:34, 20.13
2023-03-09 11:54:37, 20.12
2023-03-09 11:54:40, 20.11
2023-03-09 11:54:43, 20.10
2023-03-09 11:54:46, 20.09
2023-03-09 11:54:49, 20.08
2023-03-09 11:54:52, 20.07

ようやくできたっぽい。工学系のマトモな学生なら一瞬でできそうなのに、何時間かかってるやら。

とはいえ出来たものは便利だ! いまはdatetime.datetime.utcnow()で取った現在時刻を使ってるから時々刻々のズレを記録するようになってるけど、太陽の位置は日付時刻がわかれば特定できるので、これまで取ったデータにも角度情報を付加することができるのである。

とか自画自賛してたら、「オイラー角」という声が聞こえてきた。

www.google.co.jp

あっこれだっ!(泣)

*1:力率すら狂っていくことが昨日のデータでわかっちゃって脱力してる。庭に下ろしてるインバータで、今朝起動せず。パネルの抜き差しで起動…こんなのデプロイしたくないよ。

ブログ追記

他で書いてる日記の過去分を、書いた当時の日時で後からここにアップというのを大量にやったので、アップした分の目次を置いておく。

ソーラーなもの

2023-02-08 プラグインソーラー kamosawa.hatenablog.com

2023-02-13 お試し発電所 kamosawa.hatenablog.com

2023-02-16 大人買い kamosawa.hatenablog.com

2023-02-23 仮設発電所増強 kamosawa.hatenablog.com

2023-02-25 インバータ不調 kamosawa.hatenablog.com

2023-02-26 発電量のログ取り(以前からある記事) kamosawa.hatenablog.com

2023-02-27 発電ログにPyEphem (以前からある記事) kamosawa.hatenablog.com

2023-02-28 さらにインバータ不調 kamosawa.hatenablog.com

2023-03-03 残高不足 kamosawa.hatenablog.com

2023-03-04 太陽熱温水器とか kamosawa.hatenablog.com

2023-03-06 Axitecのパネル届く kamosawa.hatenablog.com

2023-03-07 ソーラーパネル燃える kamosawa.hatenablog.com

Makeなもの

2023-01-22 IKEA LACKで作る3Dプリンタエンクロージャ kamosawa.hatenablog.com

2023-02-10 3Dプリンタエンクロージャとりあえず完成 kamosawa.hatenablog.com

2023-03-01 溶接鋳掛け kamosawa.hatenablog.com

2023-03-05 格安焙煎機 kamosawa.hatenablog.com


いろいろやったもんである。昔から、年明けから新学年が始まる前の時期が一年中で一番元気な気がする。

このブログ、以前のように言いたいことや言わざるをえないことをまとめて文章(記事)にして出すというよりも、本当にweb log、つまり作業記録っぽくなってきた。もともと中間的な使い方をしてきた気はするけど、いまは新しいことをやってるので、記録を付けるのも楽しいのだ。そういう意味では依然として言いたいことや言わざるをえないことを書いていると言ってもいいかもしれない。

まあ、なるようになれ。同じ書き方してると飽きるので、このスタイルもそんなに長くは続かないはず(フラグ)。

写真は燃えたパネル。Aliの業者に連絡したら二つ返事で代品を手配してくれた。インバータの業者とは大違いである。

ソーラーパネル燃える

屋上に上がってみたらパネルに変なものが乗ってる。鳥の糞か?

…違う! 燃えた跡だ!!

中のセルが露出しちゃってる。

これは最初に買った150Wパネル。表面が強化ガラスにしちゃ軽いと思ってたけど、ショップのページを再確認したらPET樹脂だった。まさかアルミフレームでPETとは…。耐久性を重視してフレキシブルタイプをやめてこっちにしたのに、ヒドいじゃないか。

燃えた周囲には、PET樹脂が配線の上で溶けかけてる部分がいくつかあった。どっかが断線してどっかがショート、みたいな感じで加熱したんやろうなあ…。

止まってるインバータも、開けてテスター当ててみてみてDC MOSFETが2つとも飛んでるのを無事確認(無事じゃねえw)したんだけど、ショップに連絡してもろくに返事もない。低品質中国製品の連発とクソい商売人という合わせ技に、ちょっと疲れてきた。いかんいかん。中国では「疲れたもん負け」である。

まあなんというか、こういうのをちゃんとやってみないと高いやつの価値がわからんのよね。というのはある。

ていうか、Axitecのデカいパネルはこの150Wパネルよりワット単価がずっと安いのだ。デカいパネルを買った日本のお店は基本的に低圧発電所向けに出してる業者通販みたいなところのようで、本当に安くてオススメ!!

www.solar-off.com

カネとか貰ってないというか、むしろ沖縄への送料がクソ高くてひどいよ! と思ってるんだけど、パネル自体は本当に安いし内地なら送料も安い。まじでオススメ。

Axitecのパネル届く

2月16日に深夜テンションで大人買いした大型ソーラーパネル(450W x 10枚)が着荷した。

クソでかい。

裏は150Wパネルと同様の樹脂フィルムのボード。

3枚は玄関に、残り7枚は庭に積んであった。

そして後ろの150Wパネルの4倍の面積があることに気づく…ホントにあれ、150Wあんの?

夜になって若者2名に手伝ってもらって屋上に上げた。

接続しない限りは電気を発しないけど、コネクタが裸だと雨に濡れたりしたときに危ないから養生する必要がある。早急に展開してしまいたいところ。

しかしこれに繋ぐべきバッテリーはまだ中国を出ていない…というか、チャージコントローラもいまだに買ってない。ちょっと飽きてきてるかも。

格安焙煎機

サンコーレアモノショップが1万ちょいの焙煎機を発売したのを教えてもらったので買ってみた。

www.thanko.jp


生豆はこれを買った。一番安いデカフェのマンデリン。

楽しみである。

コーヒー焙煎は昔から興味がある。邱永漢が中国でコーヒー屋を始めるときに書いていた、コーヒー商売の利益の中心は焙煎にある、という話を読んで、それは自分でやらんといかんと思ったのがきっかけだが、デジタルに制御していろんなことをやりたいとか思ってた分野のひとつ。

なんだけど、なにしろ数年前からカフェインがすっかりダメ。焙煎についてすでに知ってる人なら自分の正解に向かうことができるし、知らなくてもどんどん試行錯誤できるならリファレンスを教えてもらいながら学んでいくことができると思うけど、知識はなく、リファレンスに近付く試行錯誤もできず、そもそもまともなロースターがどんな制御になってるのかの勘もぜんぜんない。自分で方向性がつかめる感じがしない。しかもオレはコーヒー好きというよりはむしろ紅茶好きで、10万とかする業務用焙煎機を買うような情熱まではないんだよね。

というわけで、もうこの方向は諦めることにしてたんだけど、この製品はいいなと思って飛びついちゃった。

なにがいいかといえば、

  • 撹拌機が付いてる
  • 制御が単純
  • 安い

と三拍子揃ってるとこ。

撹拌はArduinoとかでロースターを作ってる人たちが苦労するところであり、均等に火が通らないとおいしくないのは明らかなので面倒に思ってた部分。これが組み込みなのはデカい。性能はどうかわからないけど、まあ製品化できる程度にはちゃんとしてるんだろう…と期待するw

制御の単純さは強烈で、なにしろダイヤルがオンオフと温度のみ。これでなにが嬉しいか。まず自分で良い具合の焙煎というのを体得したいので、ここであんまり複雑なことをされても困るというのがある。また、将来的にマイコンなんかを繋ぐときに単純なインターフェイスの方がよい。うってつけ。

そしてお値段。1万1800円。会員登録で1000円のポイントが使えたので10800円。生豆はたとえデカフェであっても焙煎豆の半額ちょっとくらいで買えるので、たぶん3年くらいやってれば元が取れる金額だ。

しかも焙煎後1週間以内とかの豆を飲み続けられるわけで、満足度は高いであろう。って、普通はこれが第一のモチベーションだよなw すいません、そこまで期待してないんです。

リスクは、

  1. すぐ壊れる
  2. 買える豆が不味い
  3. 性能不足で不味い

あたりかな。まあ1年保証があるんで、本当にすぐに壊れるような場合のことは考えなくてよいか。

あと個人的には(って、上に挙げた項目のすべてが個人的だけど)、ナッツのローストができるのもポイント高い。フライパンだとめちゃめちゃめんどいし、オーブンでやってもけっこうムラになる作業。気軽にうまくできるなら、新都心の製菓材料店「りぼん」で買ってきた業務用のペカンナッツをローストして貪り食いたい。そこまで素晴らしくなかったとしても、余ってる生落花生を普通に食べられるスナックにしたい。

しかしこうした期待はすべて撹拌機の性能にかかってるな〜。たのむーちゃんとしたものであってくれ〜w

楽しみである。

太陽熱温水器とか

太陽光発電の不安定さと効率の悪さと太陽エネルギーの量を考えると、やはり太陽熱利用も大事だよね。

というわけで、さいきんは太陽熱湯沸器にも興味がある。沖縄では夏は完全にお湯が余るので意味がないと思われがちだけど、蛇口から熱湯が出ると調理用のエネルギーは大幅に減るし、もちろん冬の風呂にはとてもよい。

発電は変換効率20%程度でインバータやバッテリーを通すため、太陽放射の15%くらい取れれば良い方なのに対し、太陽熱給湯の効率は60%にも及ぶ。

それなのに、日本では「朝日ソアラじゃけん」が起こした押し売り営業事件がもとで90年代に急速に廃れた。とはいえコツコツやってるところはまだまだあるし、世界的には70年代にアメリカで発明されたガラス真空管ソーラーコレクターというのが技術革新を受けながら普及しつつある。

真空管式コレクターによるソーラー湯沸器については、10年以上前にMake:誌で冬に雪に閉ざされるような地域で投資して設置した記事を訳したことがある。当時は訳しながらもいまいち実感がわかず、訳した後でも「なんか寒冷地でも使えるようなハイテクのやつがあるらしい」くらいにしか思っていなかった。

ところがこれ、世界的にはシェア93%とかの技術であり、いまは日本でもふつうに買える:

(新興メーカーばかりなのはチョーフ、ノーリツ、コロナといった名の知れたとこが古いパネル式しかラインナップしてないから。真空管式のほうが熱効率がはるかに高いのになぜ??)

個人的にはヤフーショッピングで売ってる "【携帯型】太陽光 湯沸し温水器" なる水筒タイプのやつがツボだった。

store.shopping.yahoo.co.jp

これ、真空管式コレクターにフタとカバーを付けただけだw 形は水筒なんだけど、使う時は豆のさやを割るように本体のカバーをパカッと開く。すると中のコレクターが露出して、開いたカバーの内面も鏡になってるため集熱効果アップ。水を500ml入れて2時間ほど置くと90℃くらいになるらしい。沖縄ではたぶんもっと速い。中国製と思われるけどAliでは見つけきれず。

で。この水筒タイプは中の吸熱部に直接水を入れるんだけど、真空管式ソーラーコレクター技術的には、この部分も密閉するほうが新しい。中身には蒸発・凝結しやすい熱媒体を入れ、上端部に銅の熱交換部を設ける(ヒートパイプ式と呼ばれてるようだ)。上の各社の製品にも直接タイプとヒートパイプ式があるが、一番新しい世代はスペイン製のFUJISOLってやつだと思う(解説画像も付いてる)。

ヒートパイプ式は熱効率がよく、水圧に強く、得られる温度も高く、凍結もしない。なので寒冷地や大規模給湯、床暖房の熱媒体の温めなんかにも適してる。技術革新が進んだ結果として汎用性が上がる、正しいサイクルが起きてるわけだ。ただしちょっと高価になる。

凍結もしなければお湯の需要も大したことない温暖地で、かつ水道圧を掛けずに落下式で使うなら、直接タイプでも十分優れてて需要がある。

そういう技術の流れと製品の流れを理解すると、カタログ見ててもたいへん楽しい。

まあ、これからどんどんあったかくなるし、いますぐ買うことはないものではあるんだけどね。