太陽熱温水器とか

太陽光発電の不安定さと効率の悪さと太陽エネルギーの量を考えると、やはり太陽熱利用も大事だよね。

というわけで、さいきんは太陽熱湯沸器にも興味がある。沖縄では夏は完全にお湯が余るので意味がないと思われがちだけど、蛇口から熱湯が出ると調理用のエネルギーは大幅に減るし、もちろん冬の風呂にはとてもよい。

発電は変換効率20%程度でインバータやバッテリーを通すため、太陽放射の15%くらい取れれば良い方なのに対し、太陽熱給湯の効率は60%にも及ぶ。

それなのに、日本では「朝日ソアラじゃけん」が起こした押し売り営業事件がもとで90年代に急速に廃れた。とはいえコツコツやってるところはまだまだあるし、世界的には70年代にアメリカで発明されたガラス真空管ソーラーコレクターというのが技術革新を受けながら普及しつつある。

真空管式コレクターによるソーラー湯沸器については、10年以上前にMake:誌で冬に雪に閉ざされるような地域で投資して設置した記事を訳したことがある。当時は訳しながらもいまいち実感がわかず、訳した後でも「なんか寒冷地でも使えるようなハイテクのやつがあるらしい」くらいにしか思っていなかった。

ところがこれ、世界的にはシェア93%とかの技術であり、いまは日本でもふつうに買える:

(新興メーカーばかりなのはチョーフ、ノーリツ、コロナといった名の知れたとこが古いパネル式しかラインナップしてないから。真空管式のほうが熱効率がはるかに高いのになぜ??)

個人的にはヤフーショッピングで売ってる "【携帯型】太陽光 湯沸し温水器" なる水筒タイプのやつがツボだった。

store.shopping.yahoo.co.jp

これ、真空管式コレクターにフタとカバーを付けただけだw 形は水筒なんだけど、使う時は豆のさやを割るように本体のカバーをパカッと開く。すると中のコレクターが露出して、開いたカバーの内面も鏡になってるため集熱効果アップ。水を500ml入れて2時間ほど置くと90℃くらいになるらしい。沖縄ではたぶんもっと速い。中国製と思われるけどAliでは見つけきれず。

で。この水筒タイプは中の吸熱部に直接水を入れるんだけど、真空管式ソーラーコレクター技術的には、この部分も密閉するほうが新しい。中身には蒸発・凝結しやすい熱媒体を入れ、上端部に銅の熱交換部を設ける(ヒートパイプ式と呼ばれてるようだ)。上の各社の製品にも直接タイプとヒートパイプ式があるが、一番新しい世代はスペイン製のFUJISOLってやつだと思う(解説画像も付いてる)。

ヒートパイプ式は熱効率がよく、水圧に強く、得られる温度も高く、凍結もしない。なので寒冷地や大規模給湯、床暖房の熱媒体の温めなんかにも適してる。技術革新が進んだ結果として汎用性が上がる、正しいサイクルが起きてるわけだ。ただしちょっと高価になる。

凍結もしなければお湯の需要も大したことない温暖地で、かつ水道圧を掛けずに落下式で使うなら、直接タイプでも十分優れてて需要がある。

そういう技術の流れと製品の流れを理解すると、カタログ見ててもたいへん楽しい。

まあ、これからどんどんあったかくなるし、いますぐ買うことはないものではあるんだけどね。