限界ソーラー発電所、現在の機器構成

現在のウチの屋上仮設発電所の機器構成を記録しておく。どんどん変わっていくのでスナップショットだ。

いまウチでは5.1kWのソーラーパネルと5kWhのLiFePO4バッテリーで運用している。これがどのくらいの電力に相当するかというと、普通のご家庭の電気需要(450kWh/月くらい=1日15kWh)に対し、晴れると20kWhほど発電するパネルの方はすこし余る程度(天気が悪い日があると足りない)。バッテリーの方は1日の需要の1/3程度(しかも全容量使ってはならない)なので、オフグリッドにはまるで足らず、ピークシフトには使えるという量である。ウチは普通のご家庭ではないが、電力需要はちょうどこのくらいなので、この数字で考えてほしい。

仮設状態なので、まだ商用電力をたくさん使っている。昼間は4.5kWのパネルが台所とエアコンを支え、600Wのパネルがその他の負荷を削る。台所の分はほぼ完全にオフグリッド状態で、天気に関わらず商用電力を使っていない。ただしエアコンを点け続ければ、夜中にバッテリーが切れて商用電力だけになる。その他の負荷は400W程度でほとんど定常状態。晴れると600Wのパネルが全部の負荷を支えるようになり、逆潮流防止プログラムが働くこともしばしばある。ただし、夜はもちろん発電せず、曇や雨でも100W以下の発電量になるので、ほぼほぼ商用電力で暮らす感じになる。

1日の商用電力の使用量は、発電を始める前に15kWh程度だったのが10kWh程度になった。1日5kWh程度を発電で賄っている。5.1kWのパネルの発電量としては非常に小さいが、これはまだ配線が途中で4.5kWのパネルがほとんど力を発揮していないためだ。

いま実現してること

  • 合計5.1kWのパネルを屋上仮設
  • うち600W分にグリッドタイインバータを取り付けコンセントに給電
  • 4.5kW分を仮設ハイブリッドインバータに接続
  • ハイブリッドインバータは既設分電盤のブレーカーに仮接続
  • 5kWhのバッテリーを、このハイブリッドインバータに仮接続

概念図

まだまだ動かしてみただけということ。

かかった費用

現時点で80万円くらい。闇雲にやって結構な無駄を出してるので、もう一度やるなら10万は圧縮できると思う。

内訳は:

  • パネル45万(30万+15万)
  • インバータ16万(9万+3万+2万)
  • バッテリー13.2万
  • 接続箱1.8万
  • 配線2万
  • その他ちょこちょこ

本設置にはあと:

  • 分電盤2万
  • 配線材2万
  • 架台3万くらい?

かかる予定。電気工事士資格持ちなので工事費はタダ。溶接もできるので架台は材料費のみ。

現在の接続

  • ハイブリッドインバータに接続した負荷: 冷蔵庫 + 台所照明 + 大きめの変動負荷(レンジ等の台所壁コンセント接続機器とエアコン)
  • ハイブリッドインバータ未接続の主な負荷: 照明、サーバー3台、普通のパソコン2台、洗濯機、3Dプリンタ3台
  • グリッドタイインバータ: 廊下のコンセントに接続してハイブリッドインバータ未接続の負荷を補助

使用機材

そこそこ安く買えてるけど、掴まされた!というのもある。

パネル

Solar-Panel Store (AliExpress) Solar Panel Kit Complete with Aluminum Frame

1枚1.5万x10枚。

www.aliexpress.com

掴まされたやつ。オススメしません。

150Wパネルx10で1140.83ドルだったので「1kWあたり750ドルくらいじゃん。安い!」と、12万か13万くらいの気分で注文したら、153040円。1kWあたり10万円切れず。

しかも発電量を数ヶ月計測したところ、「100Wパネルの少し良いやつ」程度しか発電しない。100Wが10枚で153040円では、1kWあたり153040円である。いつの価格だ。しかも1枚燃えた(連絡したら代品を送ってくれたのは良かったが)。

10枚購入したが、稼働してるのは6枚だけ。2枚はインバータ故障でどこにも繋がっておらず、2枚は設置すらしていない。上で「600Wのパネル」と書いているのは、これの6枚分のこと。

アキシテック AC-450MH/144S

1枚3万ちょいx10枚。

www.solar-off.com

こちらが本命。450Wで24750円という激安パネル。しかもドイツメーカー・・・の、中国工場生産品。

購入したソーラーオフというお店(横浜)はメチャメチャ安く、Aliexpressと違ってデータシートの存在するちゃんとした製品を売ってる(ソーラーパネルにデータシートが存在してることにショックを受けた)。経営者はメディア露出もしているシリアルアントレプレナー。先に見つけてたら普通にこっちで全部買った。

このパネル、デカくて安くていいんだけど、Voc(開放電圧)が50.1Vと絶妙に50Vを超えてしまってるのが大きな欠点。なぜこれが欠点になるかというと、インバータの接続可能パネルの制限はだいたい50V刻みなので、250Vまでのインバータなら5枚接続…できそうだけどできなくて4枚、500Vなら10枚接続…も、できそうでできなくて9枚、ということになるから。

実際には接続箱等でダイオードが入ることでギリギリ制限以下に落とすことができるが、中国製のインバータ(というか電子機器全般)を使う場合、定格仕様は「ここまでは確実に耐える」ではなく「ここまで耐えたら嬉しい」くらいの目安と考え、無理をしない方がいい。

このパネルを買ったのは、ソーラーオフの沖縄送料が「1個5500円均一・個数値引きなし」だから。大きさ重さに関係なく5500円取られるのだ。

パネル1枚あたり一律5500円高くなるので、たとえば450Wで24750円のパネル(買ったやつ)と、その半分で225Wで1万円しかしないパネルがあったとしても、1万円パネルは15500円になってしまうので450Wあたりの価格は31000円。買ったパネルの30250円の方が安くなる。

そんなわけで、合計ワット数が同じなら、なるべくワット数の大きいパネルを少数買ったほうがお得。そして500Wを超えるパネルは最低購入数が20枚とか、どうかすると50枚に設定されているため、10枚から買えるこのパネルにした。

ちなみに、いまなら最近発売されたリープトンエナジーLP182*182-M-60-MH-460Wというのがあるので、こちらを選ぶだろう。27500円と3000円弱高いが、Vocが41.80Vと非常に使い勝手がよく、しかも1枚単位で買える。

インバータ

SRNE HF4850U-80H

8万円くらい + 消費税8000円くらいの合計9万。

ハイブリッドインバータは日本でもよく使われてるこの機種。5kW出力、ソーラーパネルもVoc 500Vまで接続できる大容量対応で、バッテリーは48Vを使用する。

Aliexpressで買ったらAmazonより2万くらい安かったけど、税関で消費税を取られた。円安で値上がりしており、消費税を取られるならAmazonと同じくらいになる。Amazonがオススメ。

GMI-300

5台で3万円くらい。後で1万戻ってきた

グリッドタイマイクロインバータ。オススメしません。

Aliで買うと1台50ドル以下でお安いのだけど、とにかく壊れるし不安定。5台買ったけど、いまちゃんと動いてるのは2台だけ。1台はときどき止まるのをソフトウェア的に解決してる。壊れた2台のうち1台はよくある感じに? マザーボード死亡。FET等の交換では直らず。もう1台は防水のはずが浸水して死亡。

WVC-1600

2万円くらい

https://www.aliexpress.com/item/1005004312592200.htmlwww.aliexpress.com

1.6kW対応のグリッドタイマイクロインバータ。GMI-300を置き換える予定。

買ってから検索したら、わざわざドメインを取って注意喚起してる人がいるほど評判の悪いメーカーだった。モノはGMI-300のような見るからに安物というわけでもなく(筐体も基板も非常にしっかりしてる)、注意喚起サイトの情報のやり取りを見ていると、十分な冷却をして定格の半分くらいで使えば大丈夫そう。ただしヒートシンクを作る計画が進んでおらず放置中。

バッテリー

Wullils 24V 100A

2個で13万2千円くらい

https://www.aliexpress.com/item/1005004634816824.htmlwww.aliexpress.com

たいへんお安いLeFePO4バッテリー。

フグリッド用の蓄電には充電1回あたりの費用が最安のLiFePO4バッテリーが最適で、ここ数年はかなり安くなっている。国内でめちゃめちゃ評判のいいLi Time(Ampare Timeのブランド名変更)の12V100Ah24V100Ahを見ても5kWhあたり10万前後で買える。

しかしそこで下値を探りに行ってしまうのがオレの浅はかなところ。それで見つけたのが、Aliでよく宣伝してるWullilsだった。

自分が買ったときは24V100Ahのものが456ドル。買ってからメッセージで「沖縄は島なので送料が必要」といってきたので交渉し、24V100Ahを2個と送料50ドルで950ドルにしてもらった。13万ちょっとなのでLi Timeの2/3。やった!!

ところが、である。届いたバッテリーを接続してフル充電し、さらにフル放電して容量試験したところ、容量は100Ahより多いくらいだったのだが、どうしたことか、もう充電ができない。

サポートとのやり取りは遅々として進まず、「開けて調べてみてくれ」と言われたので、ごっついケースを開けて(スクレーパーの刃が折れた。スクレーパーって折れるんだな、と思った)、「BMSありと無しの電圧」なんかも調べて写真を送ったりしたが、「正常だ、普通なら使えるはず」と言われるのみ。

しかも、開けて初めてわかったのだが、このバッテリーには一般的な青い四角のセルではなく、電気自動車用によく使われている薄いシート状のセル(prismatic cell プリズムセルというらしい)が入っていた。LiFePO4バッテリー製品を購入してレビューして筐体を開けてみるまでする動画というのもアメリカのYouTuberがいろいろ出しており、よく視聴するが、こんなのは初めて見た。

プリズムセルだから悪いということもないのだが、一般的に使われないのは理由があるだろう。おそらく自動車用のB品を安く仕入れ、大量の宣伝でガンガン売る業者だった、ということではないか。Aliexpressは業者の独創性を楽しむところである、とポジティブに捉えれば最高の体験だが、まともに使えないバッテリーを売りつけられたのは悔しいところだ。

サポート任せにせずに自分でよくよく調べてみたところ、BMSの入出力が逆に接続されているという製造不良である。正常に接続しても動作しなかったので(充電はできるが放電はできない)、単体で販売されている他のBMSを注文した。現在直結により動作してるので、電池屋には一部返金を迫りたいところである。

そんなわけで、この業者のバッテリーは大容量で安いではあるものの決してオススメしない。Aliにはさらに安くてそこそこ評判のいい店も存在するが、この店も納期がサイトに書いてあるのと違って極端に遅かった。販売ページには2週間後の日付が書いてあるのに、購入後の自動メッセージが「船便だから2〜3ヶ月かかる。待てるか? 待てないならキャンセルしろ」である。ページの納期は最初からウソだ。完全に開き直っていて、いっそ清々しい。

結論としては、高いものを買うなら日本人が満足する品質レベルを確保してるか、返品が無条件にできるところがよい。LiFePO4バッテリーに関しては、国内に倉庫があって納期が爆速でサポートが良いと「日本人に」評判のLi Timeがすごく良いと思う。いまはセールで24Vバッテリーの84149円なので2個で16万8300円。Wullilsとの差額は半分か…はー、こっちを買うべきだった…。

接続箱

ソーラーフロンティア KTN-CBD

2万円弱。

接続箱はソーラーパネルのケーブルをインバータ(日本風に言えばパワコン)に接続する前の段階でまとめるための分電盤的なものだ。ストリング(ソーラーパネルの直列になった1系統)ごとにオン・オフするためのブレーカーや、逆流防止ダイオードが付いている。

ウチはハイブリッドインバータ(オフグリッドインバータ)に接続するストリングが1系統だけで、小さいパネルはグリッドタイインバータで直接ACに流している。接続箱は特に必要ない構成といえばそうなのだが、大きなパネル多数に高価なインバータがぶら下がった機器である。雷が怖い。ソーラー向けの避雷器の適当な製品が経験が浅くて判別できなかったため、避雷器の付いた接続箱を購入した。商品はこれの4回路バージョン。

www.solar-off.com

4回路も要らないけど。

価格は本体13200円+送料5500円(沖縄送料1個5500円均一!)の18700円。ほぼ2万。

まとめ

はやいとこ本配線をしなさい…じゃなくて。

ソーラー&バッテリーの価格低下は著しく、その成果は個人でも買える。土地のある人、屋上のある人は試すといいと思うよ!