以前にこういう記事を書いた:
ソーラーパネルを設置する際の基礎データとして、天候まで加味した年間日照量が最大になる設置角が公開されてるんだからとりあえず使え…という話である。
ところが、地域によく合う最適傾斜角は、実は日射量によってのみ決まるものではなかった。ということが経験を積むうちにわかってきたので書く。
結論から言うと:
- 都市圏では日射に合わせた角度が最適(デフォルト)
- 南国ほど水平が最適
- 北国ほど垂直が最適
である。これは以下のような要因が入ってくるからだ:
- 季節的な電力需要の変動が大きい場合はそれに合わせたパネル角度が良い
- マイナス要因をクリアできる角度があればそれも加味するとよい
それぞれ見ていこう。
南国の場合
- 冷房によりピークを付けるので夏の発電量を最大にしたい(パネルを寝かしたい)
- 最大のリスク要因は台風である
これの意味するところは、パネルは水平にせよ、である(ちなみに沖縄の6、7月に最大日射量を得られるパネル角度はマイナス(北向き)8度だ)。
- しかし水平にするとゴミが流れないので最小限の角度をつけたい
ということで、沖縄の家庭向けソーラーの設置角度はそのほとんどが5度となっている。
北国の場合
- 暖房によりピークを付けるので冬の発電量を最大にしたい(立てたい)
- 最大の発電阻害要因は積雪である
ということで、垂直設置が合理的となる。これはさらに、以下の要因により強化されている:
- 雪の反射により下からの散乱入射光が激増する
- しかも両面発電パネルを使うことで北からの散乱光も使える
つまり、垂直設置が「ものすごく」合理的になる。
北海道の田舎をドライブすると、道沿いに垂直のパネルが延々と続いてる場所が結構あるのはそういうことである。
売電を主な目的にするなら
この場合、積雪がない限り日射量に合わせるべきなので、沖縄でも直達日射量が最大になる23度で設置することに合理性があるとは思う。でもこれ、台風のことを考えると面倒でしょうがない。できれば水平にすることで風圧にsin0を掛け算したい。気候変化がずいぶん進んだので、九州もこれに近い考えになっていくのではないか。
ウチの場合
実は我が限界ソーラー第一発電所のパネル傾斜角は6枚がプラス5度、4枚がマイナス5度である。
このようにしたのは:
- 空力的に固定できる
- 夏場の冷房の電気代が極端に大きい
- 売電しないので自家消費量以上に最適化する必要がない
といったことから。
陸屋根なのでパネルをただ平置きすれば完全に水平になるけど、これはパネル同士の間でケーブルを通すのが厄介だし、なにより汚れがひどいのである。雨が降ったらさーっと流れてくれるのがありがたい。
何でもやってみないとわからないもんだね。