音声入力のはじめ方

野口悠紀雄が音声入力で本を書いていると知って、自分が一番知りたかったのは、どのようなアプリケーションを使っているか、だった。

ところがスマホでの音声入力には、特定のアプリ、例えば専用のエディタなどは必要がなかった。Androidであれば、Google音声入力を使うだけでよい。これはキーボード扱いになっているのだ。もしかしたら何かインストールする必要があるのかもしれないが、自分のスマートフォンにはいつの間にか入っていたものである。Google日本語入力の右上のマイクボタンで起動し、喋ればそのままテキストとして入力される。

音声入力が一番便利なのはクルマの運転中や道を歩いているときだ。これは欧陽脩の三上のうちの「馬上」にあたり、もともといろいろ思いついたり思考が進んだりするものではあったが、これまではメモに手間がかかるためにキャプチャがおろそかになりがちだった。音声入力では、それが非常に手軽になる。

最近は運転席に座ると、Evernoteの新規ノートを開き、メモの準備をしておく。音声入力ボタンを押せばすぐにアイディアがキャプチャできる。

当初この運転中のメモ取りは、いつでも"OK Google"が使えるようにスマホを電源に繋いだうえで、何か思いついてから"OK, Google、XXXとメモ」とコマンドを送り、音声操作だけでメモを取ろうとしていた。ところがOK Googleを音声入力のコマンドインターフェイスとして使うのは結構難しく、よく入力が無駄になったり(「XXX」を検索される)、うまくメモ入力に入ることができているか不安でスマホに目が行ったりするので、安全性が損なわれる感じがあった。メモは大事なので、最初から用意しておくのがインフラとして重要だ。

音声入力した素材はEvernoteのノートとなっているので、PC側でシームレスに編集することができる。どのプラットフォームで、どのソフトを使って編集するべきかはまだ確立してないが、どのハードウェアを使って編集するかは確立している。4K縦画面のMac miniである。

音声入力していると思考の断片という「素材」が膨大に蓄積されるので、ポストイットの並べ替えで文章を構成するように、広い画面で文を並べ替え、繋いでいく。これには一覧性が絶対的に重要で、4Kモニタを導入しておおむね満足しているが、もっと字が見やすくなるように、画面も大きくしたいと思っている(28インチは足りない)。

音声入力内容はそのまま使えるわけではない。まず第一に句読点がないし、カッコ、カギカッコ等もない。喋るのをやめると半角スペースを入れられてしまう仕様があり、余分なスペースもたくさん入っているので、句読点を足しながらこれらを除いていく。

こうして作った文章は、これまでの自分の文章と文体が少し違って違和感もあるのだが、まずはその圧倒的なスピード感に慣れようとしているところである。