めちゃめちゃ速いという話がいっぱいあるので入手してみました。
構成は一番安いやつです。メモリを16GBにすると+2万、SSDを1Tにすると+4万とかかかるんで、そんな泥棒に追い銭みたいなことしてもなあ…という気がして。リモートデスクトップで使えばなにも問題ないはず。
配送はめちゃめちゃ速かったです。22日に注文して沖縄に2日で届いた。家で仕事してたら夕方近くなってタッタッタッタッと走ってくる音がしてピンポンが鳴り、ドアを開けたらヤマト運輸のお兄さんがちっこい箱を持って立ってました。
付属品はACケーブルだけです。あとペラいスタートアップガイド的なのが2枚とリンゴマークのシール。これまだやってるんですねえ。
家の安物4KモニタはHDMIの口が4つあるので手持ちのケーブルで普通に接続。ネットワークも有線を使い、GbEのハブに接続。キーボードとマウスは、もともと使ってるMac mini Late2014と共用するために切替器で接続。
起動して移行アシスタントで元miniから引き継ぎ…ですが元miniはSSDを2TB+1TBの3TBにしてあって使用領域も1.3TBくらいあるんで、ユーザーデータは残してアカウントを新規作成し、アプリケーションや「その他のファイル」だけ引き継ぎ。
元miniの有線イーサネットはウチのハブと相性が悪いのか1000baseでリンクアップしてくれないんですが、これはMacbook Airで使ってるThunderbolt-GbEを一時的に持ってきて速くしてます。
移行開始したあとは長くかかるだろうと思って放置してたんですが、1.5時間後に戻ってきたら終わってました。
使い始めてまずやったのがUIの設定です。
- 「ナチュラル」スクロールを外す
- Command+Spaceを「Spotlightの起動」→「前の入力ソースの選択」に変更
- Command+Shift+Spaceを「入力ソースの次のソースを選択」に設定
- Ctrl+SpaceをQuicksilverのアクティベートに(Quicksilverで設定)
- SpotlightはOption+Spaceに割り当て
- Mission Controlの起動をCtrl+↑からF9に変更
- Karabiner-Elementsの最新版(ネイティブ対応!)を入れて親指シフトのセットアップ
これでだいぶ手に馴染む感じに。
最初Quicksilverを起動しようとしたら起動するフリだけしてまったく動かなかったので、ああやっぱりいろいろダメなんですかね? と思ったんですが、他のIntelバイナリのアプリケーションを起動しようとしたらダイアログが出てRosettaを追加でインストールさせられました。そんなもん最初から入れといてくれよ…。Rosettaを入れたらQuicksilverも起動するようになりました。
あとはChromeのインストール。ネイティブ版がちゃんと動くようになってます。Googleアカウントでログインしてsyncしたところ、まだ何も整ってない環境の中でここだけがいつも通りに。
まずは良いところ。
評判通り、めちゃめちゃ速いです。
まず気づくのが日本語入力。どんなに速いマシンになってもわずかな遅れがあってフニャフニャした感じだったMacの日本語入力ですが、M1プロセッサではかなり改善してます。昔のPC9801のDOS環境に近い…とまでは言えないかな? かなりパキパキした感触。
ブラウザもさすがに速いですね。ネットワークからデータが落ちてくる前にレンダリングが終わってる感じで、ページを描いてる様子が見えないです。全体がぱっと出る。
あと驚いたのが重めのtar.gzを展開したときです。gzcat hogehoge.tar.gz | tar xf - という具合に入力してEnterしたら一瞬で返ってきたので、何かタイプミスしてて何もせずに戻ってきたかな?と思ったら全部展開済でした。はええ!
ネットワークも速いです。7,689,725,956 バイトのフォルダをサーバからコピーしたら73.2秒。105MiB/秒くらい出てます。8bitが1バイトですが色々とオーバーヘッドがあるのでだいたいMB/sの数字を10倍することでbpsが出るといいますが、10倍したら1050ですからGbEのスピードを超えちゃいます。ほぼ理論値が出てる感じ。
互換性も悪くないです。
Applicationsに大量に使えないソフトが出てたんですが、これらは32bitアプリでCatalinaでは使えなくなってたもの(元のminiではMojaveでOSのアップデートをやめていた)。64bit Intelバイナリのアプリで動かないものはひとつもないし、たいへん高速で動作してくれます。
アカンところ。というかオレ的に問題のあったところ。
まず、Apple的な奇妙な動作がひどいです。まあこれはM1チップのせいではなくOSの問題なんですが、最新のBig Surで使わざるを得ないマシンでは深刻…。
最初起動したときはディスクが200GB以上使われててびっくりしました。これは出荷時からディスクを使いまくってる…わけではぜんぜんなく、移行アシスタントがユーザーの配下にないディレクトリをすべて「その他」として律儀にコピーしてくれたためで、まったく問題のない動作でした。
やたらに容量を取っていたのは、以前共有用に作った/Users/Shareというところや(90GBくらいあった)、ApplicationsフォルダにEl Capitan、High Sierra、Mojaveのインストールアプリケーションが入ってたため。
だから消して解決!
…と思ったらディスクの空き容量がぜんぜん増えません。
これは悪名高い「パージ可能な容量」というやつでした。Time Machineにローカルバックアップされたものが主体です(クラウドにセーブしてあるものはローカルファイルをキャッシュとみなしてこれもパージ可能としているらしいですが、ウチではその容量はほとんどありません)。
Time Machineの自動バックアップをオフにして再起動したら消える…と思ったら再起動直後は増えてたりして、かなりまごまごさせられました。(だんだん消えました。)
そしてMac OSの過剰なセキュリティ。
認証サーバの速度が低下しただけでみんなのMacがマトモに動作しなくなったという話がこの間も出てましたが、これも最新のmacOSのめちゃめちゃウザいところ。
上記の操作でも、なにが容量を食ってるのか調べようとして、Terminalからsudo du -shしたら"Operation not permitted" の嵐。デスクトップにも「ターミナルがXXにアクセスしようとしています」の警告がアホほど出てメチャメチャannoying。けっきょく容量も全然わかりませんでした。(警告は「セキュリティ」環境設定からターミナル.appにフルディスクアクセスの許可を出すとおおむね消えるが容量はあまり正確にわかるようにならない)
こっちからすると、開発者の署名がどーたらとか、どうでもええねんなんですけどね。マイナーなものしか使わない人用に、この手のサイドブレーキを全部外す設定が欲しいです。
そして最後に、オープンソース向けの開発環境がぜんぜん整いません。
たとえば、「やねうら王」をビルドしてM1がどのくらい強いか(どのくらいの計算能力があるか)見てみようと思いました。やねうら王エンジンのコンパイルはMacだとそこそこ面倒で、いろいろな部分が整っていないとうまくコンパイルできないので、自由度のベンチマークにもなるのです。
で、まずはclangではコンパイルが通らないのでgccを入れるという手順があるんですが…このgccのコンパイルからして通らない。
ちょっと調べてみると、7月の時点でまるで見通しが立っておらず、あとgccのarm64ポートのgithubのドキュメントには「rebaseしまくるはずだから信用するな」的なことが最初に書いてあり、要するにアルファ状態。あきまへん。
オレはMac Portsを使っているので移行はすんなり進んだし(2020/11/25 23:39訂正。気のせいでした。migration手順は終わってなくて、ちゃんとやったらエラーでまくり。というわけでこちら→)できた部分もかなりあるし、まあできることもいっぱいあるんですが、自由な気持ちで集中できるようになるのはいつの日? みたいな気分です。
このへんについては渋川さんのまとめを定期的に参照しようかなと思ってます。
まとめ
そんなわけで現状のところ
- 使えるものはすごく速い
- しかし好き放題やろうとすると面倒くさい
- オープンソースの開発には不向きかも
という…なんというか、Appleの理想?みたいな感じのマシンに仕上がってます。コンシューマ向け最強マシン。
強みはなんといってもユーザーインターフェイスの高速さなので、当初予定してたように「いろいろ最小限にしてリモートデスクトップで使い、CPUサーバのようにする」というのには向いてない感じ。しかし高速な外付けインターフェイスを使ってディスクを拡張してメインマシンにするのは自由が足りない。
オレにとっては「仕事はできるけど気の合わないやつ」みたいに見えるので、あんまりプライベートで友達付き合いはしたくないかもしれないですw
あーその方が仕事は進むか。
Chromeがいつもの通りだからネットを見ちゃうのだけが問題ですね。