Falcon 9とDragon宇宙船に関する昨日のツイートの訂正

昨日Twitterを眺めていて、Falconロケットの打ち上げがあることを知りました。

オレはこのロケットについてほとんど知らなかった(かつて記事を訳したこともあるけど忘れた)ので、基本的な紹介みたいなものを探しましたが、ほとんど見つかりません。どうも基本情報無しに盛り上がってる感じがしました。「まーた『イントロが弱い』をやってるな」と思い、SpaceX社のホームページをざざっと調べて、以下のようにツイートしました:

いま打ち上げ中継中のFalcon 9ロケットとペイロードのDragon宇宙船について。おれは全然詳しくないんだけど、軽く調べたのでご紹介。


両者はSpace Exploration Technologies Corporation(SpaceX社)が開発している。同社は商用軌道輸送サービスを育成するNASAのCOTSプログラムに選ばれて今回ISSへの輸送を担当する。NASAから出資と技術供与を受けている。


Falcon 9は2008年9月28日に民間液体燃料ロケットとして初の軌道到達をやったFalcon 1の後継。初打ち上げは2010年6月18日。今回が打ち上げ第二回。


DragonはCOTSプログラムに基づき開発された(原型は2005年に開発開始していたらしい)再使用可能型宇宙機。Nosecone、Spacecraft、Trunkの3要素から成る。Spacecraft部は与圧で人間が積める。


これは12回の打ち上げ契約の第一回。民間ロケットによる商用輸送の幕開けとしてわりと記念すべきものなので、見ておくといいよ。http://www.nasa.gov/multimedia/nasatv/index.html 以上!

ところが、これはいっぱい間違ってました!

何もわからないで打ち上げを見るよりは役に立つと情報ではあるものの、主に個々の宇宙機のページを参考にして急いで書いたため、きちんとした情報を取れていません。主に回数などについて間違っていました。

後から調べたところ、SpaceX社のプレスキットその他に正しい情報が書いてあったので、以下に訂正いたします。

  1. 今回の打ち上げは「デモンストレーション・ミッション」であり、打ち上げ契約に入ってません。
  2. 画期的なのは最初の契約ミッションだからではなく、営利企業の宇宙船が初めて宇宙ステーションまで行くことです。契約ミッションの第一回は8月に予定されています。
  3. Falcon 9の打ち上げは2度目ではなく3度目です。初打ち上げの後、2010年12月8日にDragonをペイロードとしたデモンストレーション・ミッションを行なってます。

間違った情報の拡散、申し訳ありませんでした。

ただし、本当に大事な部分は変わりません。

  • NASAは(アメリカは)自前の有人軌道輸送の費用負担に耐えられなくなりつつあり、私企業に頼ってコストダウンする動きになっている。
  • SpaceX社はNASAのプログラムによる資金・技術供与を受けてはいるものの、営利企業として打上機と宇宙機を自前で開発した。
  • アメリカは営利企業による宇宙往還時代に入ろうとしている。

ということです。これは打上手段について、根本的なコスト構造改革が現実に始まっていることを示しています。

日本の宇宙開発は、何を目的とし、どんな手段で実現するのか、相変わらずまったく見えて来ませんが、その間に宇宙開発を取り巻く環境そのものが大きく変化しようとしています。これまでに積み上げたものを捨てざるをえなくなる場面も数多く出てくるでしょう。

しかし逆に言えば、きちんとゼロベースで考えるチャンスでもあります。そろそろ本当に考えなければ、日本の宇宙開発は歴史的に意味のない物になっていくでしょう。