ネオワイズ彗星(C/2020 F3)を見てきました。昨夜(2020/07/21)のことです。
実は昨日の昼までは、今回の彗星も、見ようとも見られるとも思っていませんでした。
これまでハレー彗星を皮切りに、何度もフィールドに行ったことがあるんですが、下調べが甘かったり天候が悪かったりして見えたことがなく、「またどうせ見える見える詐欺でしょ」「明け方にがんばるのは無理だし、夕方見える頃には暗くなってるんでしょ」などとフテくされた感覚を持ってました。
ところが友人に話を聞いて、ちょっと釣られてみたら、ちゃんと見えてびっくり!
「彗星を肉眼で見る」というのは普通に生活してるとたぶん一生に一度くらいしか体験できないことですし、この彗星も日々暗くなっていく段階。
なので、興味はあるけど…と迷ってる方に向けて、大急ぎで共有しときます。
友人に聞いた情報
集めた情報、使った道具
- スマホアプリ "Comet Book"
天体望遠鏡メーカーVixenの彗星アプリです。ARとかはないけど、他の星との位置関係がわかります。また、星景内で動いていく様子や地平線との位置関係の変化を日付や時間のスライダを動かしていくことで理解できるという優れものです。
- Windy
(訂正。雨雲レーダーを紹介してたんですが、見てたのはWindyでした。Windyだと雨雲レーダーに映らない薄い雲も表示されます。)
ネオワイズ彗星は7月中旬から「日没後の北西の空に現れてそのまま沈んでいく」という動きをします。なので、8時に北西に雲がない場所に行くのがベストです。
雨雲レーダーでは薄い雲はぜんぜんわからないんですが、ある程度以上の雲が存在してる様子や、その動きがわかります。今回は本部半島の上空が雲で覆われるという情報を参考に、北部まで行きました。
自分が行ったのは、このマップで青紫くらいになってる場所、沖縄本島北端に近い「茅打ちバンタ」という海岸沿いの崖みたいなところです。ただし、これは光より雲を抜けたいための選択でした。真栄田岬あたりでも晴れてれば天の川が見えるので、なんとかなるのではと思います。
これは要らなかったです。カメラはスマホ(Xiaomi Mi Mix2S。暗所にかなり強い)も含め、まったく役に立ちませんでした。失敗写真も思い出的にはいいけど、良い写真はプロの人が撮りまくってるので、肉眼を主体にすべきかなと思いました。
ほしかったもの
- 大口径レンズの双眼鏡
- スマホを消そう
ヒトの目が暗順応するには数十分から数時間かかります。暗い星が見えてるくるまででも20分くらいかかるそうです。スマホやカメラの画面をモロに見るとリセットがかかる(明順応する)ので、どうしても必要な時に限って暗くして見る、くらいがいいと思います。
昔から夜間の観察をする人の間で共有されてる知恵として、赤くて弱い光なら明順応反応を起こさない、というのがあります。スマホにもカメラの液晶やインジケータにも赤いフィルム貼りたかったです。
- 注目すべきは北斗七星
彗星はかなり暗くぼんやりとしており、視野の中心でマトモに見ようとすると難しいです。
自分の場合、「北斗七星のひしゃくのカップ部分あたりに着目し、視線はその方向のままで左下を注意する」みたいな見方をすると認識できるようになりました。
視野の中心でぼんやりした光が見にくいのは、人間の網膜には視細胞が2種類あり、そのうち色を見るための(光の存在認識にはあまり鋭敏でない)錐体の方が、視野中心付近に集中して分布しているためです。周辺視野には光を感じるための桿体が多く分布してるので、暗い星が見やすいです。
おわりに
彗星は30年以上も空振りだったので、本当に見えたときは驚きました。
こじらせてる方はいまがチャンスですよ! と言いたくて書きました。
案外ちゃんと見られるので、大急ぎでそそくさと観察、というのはいかがでしょうか。
いま「だけ」がチャンスです!