個人向け給付を使いたいように使うのは義務だろうが

給付の話が具体化してきたら、ああ使え、こう使え、辞退したい、こうしなきゃ、これは間違い、みたいな話がいっぱい出てきた。しまいには「県職員の分はオレが全部使いみちを決めるよーん」なんて知事まで出る始末。

バーカバーカ!!

てめえが一番賢くて一番正しく使えると思ってるやつ、清貧気取りで給付から逃げるやつは、全員大バカ野郎のコンコンチキだ。経済学的文盲だ。

個人に広く浅く給付するメリットは、各人がそれを自分のものとし、自分にとってもっとも適切な使途を、身銭を切って選択できることにある。

足りなくなった需要を、ありとあらゆる細かい配慮で補っていくことは行政にも企業にも不可能だ。多数の個人の選択によるしかない。

そしてここには市場メカニズムによる選別という面もある。灰の中から立ち上がらねばならない未来にとって必要な手順だ。

コストを掛けてバラして配ったものをわざわざ集めたがったり、あたかも「正しい使い方」があるかのように誘導したり、受け取ることを恥ずかしい行為のように扱って空気を作れば、市場を大きく歪めてしまう。未来は指の間から滑り落ちる。コロナ対策は失敗する。頭が悪いとしか言いようがない。

逆に責任を持って使う政治家もちゃんといる。これは偉いと思うんだよね。

和光市長「私は10万円申請 全部地域で消費」ツイートがネット話題「ぐうの音も出ないほど正しい姿」― スポニチ Sponichi Annex 社会

この人の使い方が正解というわけではない。自分の考えを自分のお金で明らかにする、という手順そのものが正しいのだ。こうした市場参加が必要なのだ。

今度の給付は、そもそも制度設計が悪い。お金は回さなきゃ生きない。でも民間セクターでは今後2年ほど収入予測がまったく立たないのだから、予測に働きかけない限り、貯蓄に回る部分が相当出る。むしろ貯金するのが当然だ。

なぜ予測に働きかけるベーシックインカムにしないのか。

無税にしたのも良くない。これは誰かの仕込んだ毒饅頭で、給付を高コストにして1回限りのものとするものだ。また、こうすることで高所得者から回収する方法がなくなるので、辞退が正しいという空気を作ってしまう。

こんな行きあたりばったりの給付では、経済は当然持たない。さらなる対策が必要となれば、今度は「効果のなかった給付」ではなく、官僚や自民党執行部が適当に考えた「正しいこと」にお金が使われるはずだ。

リーマンショック下の麻生政権が出した数十兆円の経済対策には目玉もなにもなく、官僚がしまい込んでたガラクタプロジェクトの大復活大会に金を捨てた。今度も同じことが起きる。安倍ちゃんたちのオトモダチプロジェクトが加わるので、さらに醜悪なことになるだろう。