にゅー、わーるど、うえいふぉーゆー

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昨日の話の続き。見落としに気づいた。

集団免疫戦略が機能しない理由として挙げられていたのは、集団免疫を獲得する過程が長すぎるという話だった。医療資源が乏しいので一度に感染していられる人数が限られ、人口は多いので集団免疫を獲得するには長い期間がかかる。

この高山医師の投稿を見て見落としに気づいた。集団免疫率(収束に必要な免疫)はR0の逆数をパラメータとした式だったのだ:

何人が免疫を獲得すれば収束していくか(集団免疫率)は、基本再生産数(R0)を用いて (1–1/R0)×100 と計算されます。R0とは「ある感染者が免疫のない集団に入ったときに直接感染させる平均人数」のこと。麻疹のR0は 12~18 とされており、集団免疫率は 92~94% と計算できますね。

 

"新型コロナウイルスのR0は 1.4~2.5 と試算されていますから、日本に住んでる人の 29~60% が感染すれば終息に至ると理論上は考えられます。"

 

つまり、R0が小さければ集団免疫の成立に必要な人数そのものが減る。2より下にできれば半分の人数で済む。1.4なら(1-1/1.4)*100で28.57%。3割の感染で済む。

ただし希望が出たわけではない(ここ陰鬱なとこ)。3割でも桁が変わるほどの変化ではないのだ。3千数百万の患者は十分めちゃめちゃに多い。日本の人口と医療資源で計算されたバージョンで示された36ヶ月が半減して18ヶ月になっても、めちゃめちゃ長くて壊滅的なのは変わりがない。

さらに陰鬱なのは、R0がウィルスの特性だけでなく、人間側のいる場所や行動で変わる値であることだ。いま全力の自粛自粛で抑え込んでいる状態でR0が1.4(集団免疫率で29%)になっていたとしても、閉じた空間なら6だとか(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14197)、ダイヤモンド・プリンセスの当初の値は14.8だったという話がある(https://www.ncc.go.jp/…/safe…/about/kansen/040/COVID-19.html)。

注意をやめればR0が上がるのであれば、われわれは平常の行動に戻ることができない。つまり、今のような行動を何年も続ける必要がある。

そしてこの高山医師の投稿には、もはや封じ込めは不可能であるという認識が含まれている。現場のプロの肌感覚なんだから、たぶん無理なんだろう。昨日の記事でおこなわれていた提案は「やりたいけど無理」ということになるだろう。

そんなわけで、「われわれはこれまでとはまったく違った世界に突入した」と認識するのが正しいように思う。波乱の時代の幕開けだ。業績予想とか全部役に立たない。

ある意味チャンスですよ。