「2番じゃダメなんでしょうか」

蓮舫さんをここぞと叩く人たちが、また「2番じゃダメ?」を攻撃してたので、そこらについて判断材料になりそうなことを置いておきます。


そもそもこの発言は根本的に誤解されたままになってて、当時から気持ち悪かったんだけど、放置してても正確なことは伝わらず、伝説が残るばかりなので、書いておく必要があるように思うのです。


ニコニコには全やり取りの音録が残ってます。 http://www.nicovideo.jp/watch/sm8793858
また、これについての2011年のやり取りも要点をよく示していると思います。
http://togetter.com/li/214426


音録を最初から聞くとよくわかるんだけど、そもそも事業仕分けってのは

  • 財務省が「これはダメだろ」というのをピックアップして
  • やりたい側に必要性を説明させたうえで
  • 意義があるなら残す

というプロセスです。俎上に上がる時点で半分死んでるものが多い。


当時の次世代スパコン、いまの「京」の開発は、NECと日立の撤退でベクターマシンを捨てて、にもかかわらずそのまま膨大な予算を取って、そのまま進むことだけ考えているという、だいぶ無理筋なものでした。利権的な配分でぜんぜん擁護できない。


そこらへんは自民党河野太郎議員も当時の仕分けの方々と同じ認識だし
http://web.archive.org/web/20111115193950/http://www.taro.org/2011/11/post-1117.php

HPCの専門家として仕分けに参加した金田教授の認識もそうです。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20091225/342666/


仕分けにおける「首切り役人」は財務省主計局です。彼らの基準は妥当性や透明性ですが、論述はわりに簡潔で短い。これに対して予算を取る側が長めの時間をもらって防衛する。そしてさまざまな立場の仕分け人が質問する。


このスーパーコンピュータの仕分けのプレゼンは、最初の方からぐだぐだです。要点を外したまま、質問されても同じ方針で説明を続けるばかり。予算の妥当性について聞かれているのに、ふわーっとした話しかできてません。研究者仕分け人からは、もっと本質的というか、プロジェクトの妥当性そのものについても聞かれてますが、やっぱりふわーっとした説明。


蓮舫さんの「2番じゃダメなんでしょうか」は、上の動画の30数分からの流れで金田教授がメタメタに切ったあと、まだ文科省理研の側が同じようなことを繰り返すばかりなので、もっと具体的に予算の意義を、という意味合いで48分ごろに発言されてます。予算を付ける方向で発言してるのは蓮舫さんだけで、完全に助け船であることが見て取れると思います。


これに対する文科省理研の回答までお聞きになられるとよいと思うけど、やっぱりロマンがどうのこうのと、ふわーっとお答えになります。


廃止1、休止6、削減5、という結果になったのは「2番じゃダメなんでしょうか?」発言とはぜんぜん関係ありません。今回聞き直して思ったけど、よく言われてるようにプレゼンが悪かったというのも主因ではなく、プロジェクトそのものが間違っていた感じです。最終的に復活したのは完全に政治的な動きでしかありませんでした。


「2番じゃダメなんでしょうか?」を文脈無視でマスコミが騒いで、ノーベル賞級の方々も、明らかにそれだけを読んで勘違いして騒いでました(彼らは明らかにプロセスを見てません。そんな時間はないということでしょう)、科学予算が減る!という雰囲気が出たためにやり玉にあげられますが、それは彼女の罪ではありません。


1100億を費やして「京」をそのまま続けたことが正解だったか、ほかの使い道はなかったか(たとえば東工大TSUBAMEシリーズは年間10億程度の予算だそうです)、あれをシンボルに「科学立国」を語った皆さんは、考えた方がよいように思っています。